雪の女王

松田聖子という歌手を、私は割と好きだった。

高校生位の頃、彼女は同級生の女子たちにすごく嫌われていた。

私は割と好きだったので、可愛いいじゃんとかいうと、えーどこがー全然可愛いくないじゃん、ぶりっ子で嘘泣きだし、レコ大の時涙流れてなかったよ、とか言われていた。

その後男性アイドルと破局して、生まれ変わったら一緒になろうねと言いましたの涙の会見をしたり、アイドルにしては思い切ったショートカットにしたり、そして結婚して子供を生んで、それでもアイドルを続けたりという生き方に、あんなに女子に嫌われてた彼女を嫌いと言う人は少なくなった。

 

女性はクリスマスケーキと言われていた時代に、結婚してもアイドルで居続けた彼女は、当時の女性のロールモデルと言う感じだった。

その頃には逆に、私は彼女をあんまり好きじゃなくなってきた。

男性アイドルとの恋と違って、当時でもおっさんだった俳優との結婚。なんかそこに愛はあるんか?と大地真央のように言いたい感じだった。

その後は結婚しては別れを繰り返し、娘にとっては入れ替わり立ち替わりやってくる新しい父親には、慣れる時間も無かったのではないかと思う。

家ではそんな環境で、学校では有名人の娘として嫌がらせされ、逃げ場は両親と同じ芸能の世界しかなかったのかも知れない。

 

私は母になった事がないので、松田聖子と言う人の母としての気持ちを慮る事は難しい。

でも彼女だって子供だった時はあるのだ。

母であろうと出来なくても、子どもであった自分がどう思うかと考えなかったのかなぁと思う。

淋しいまま、娘は白い街で死んでいった。

娘には最後まで、拠り所が無かったのだろう。