春一番

東京に春一番

たしかに、外に出たら春の風が吹いていた。

 

図書館で松谷みよ子の「あの世からのことづて」を借りてきた。

この本は文庫化された時に一度購入したのだけど、実家に送ってその後母がどこかにやってしまったようだ。

時々読みたいと思うことがあったが、絶版のようで手に入らなかった。

以前図書館でも探してみたが近所の図書館には無かったりして、そのままになっていた。

 

最近また図書館で探してみたら、出勤途中に寄れる図書館に置いてあった。

借りて帰ったら、松谷さんのサインが入っていた。

寄贈本とは書かれてなかったが、発売年よりずいぶん経ってからの所蔵印が押してあるので、寄贈されたのかも知れない。

 

人魂の話が載っていた。

人が死んだ家から人魂が出てくるという目撃談は、戦前くらいまではよくあったようだ。

そういえば父親が若い頃とその母である祖母と一緒に、火の玉を見た話を聞いた事がある。

今では人魂が飛ぶなんてほぼ聞かない。

世の中が明るくなって、霊魂も見えなくなってしまったのか。

 

この本を20代で読んだ時には、自分の死は身近な事では無かったけれど、今読むと自分の死の事も考えてしまった。

年を取るのは、本当にあっという間だった。

もう生きる準備より死ぬ準備をすべきなんだろうな。