小指の想い出

左手の小指の爪が折れていた。

伸びていた部分がまっすぐ無くなっていた。

寝てる間に。

人差し指とかは伸ばしていると時々、何かに引っ掛けた拍子に折れてしまう時がある。

小指の爪が折れていて、あー引っ掛けたかなと思ったけど、ちょっと待て。

この指の爪がこんな状態になったのは、今回が初めてではなかった。

 

もう30年も前の事、今のように無職で初夏だったか、ダラダラと昼寝をしていたら夢を見た。

そんなに若くもない、でも古風だけど少女っぽいワンピースを着た女性が夢に出てきた。

夢の内容は他愛もないものだったと思うけれど、その夢の内容には関係ない感じで、突然その女性に後ろから左手を掴まれた。

驚いて振り向くと、その女性は怒った顔で「爪が伸びているから切ってあげる」とパチンと小指の爪を切ってしまった。

夢の中の私は「いいです!」とかなんとか困惑して手を引っ込めた。

そこで目が醒めたけれど、唐突で怖くてドキドキして目を醒ました。

左手の小指の爪は、折れた状態で近くに落ちていた。

当然、自分では切っていない。

 

そんな事があったが、それが何なのか怖い事なのか良い事なのか、何かの暗示なのかもわからず不思議な事もあるもんだと思った。

その夢の中の女性は、今になると歳を取った自分のようにも思う。

 

そして数日前、夢には出てこなかったけれど、そう言えばこれもあの時と同じ現象だと気がついた。

何でしょうね。

なにかの啓示なのか、霊的な誰かが私に何か言いたいのか。

何かを教えてくれようとしているのか。

全然分からないから、どうしようも無いけどね。

 

無職というところが共通項だから、何かやるべきことがあるのかな。

60代の女性ホームレスが殺された事件があってから、しみじみ自分の今後を考える。

このまま仕事が決まらなくて家賃も払えなくなったら、生活保護を受けるとしても、私も近場に住む身内に連絡されたくないなと思ってしまうだろうな。

そうしたらホームレスにならないとも限らない。

 

爪を折ったのは誰だろう。

このままでは駄目だという、ありがたい忠告なのかな。