並行世界

ある程度長く生きていると、時々おやっと思う事がある。

自分の記憶には鮮明に覚えている事が、他の人の記憶では全く違っていたりする。

それは自分か、或いは他の人の記憶違いなのだろうとお互いに納得する。

でも本当にそうなのだろうかと、ふと思ってしまった。

 

自分はどこかの時点で、ほんの少し違うもうひとつの世界に転移していたのではないか。

それはほんの少しの違いだから、その時はちょっとした目眩とか、寝起きの夢みたいな感じに思うけれど、実はよく似た別の世界へ来てしまったのかも知れない。

思えば、なにか違うという小さな違和感なんか、今まで何度もあった気がする。

誰かとの話で自分が記憶していたエピソードが、他の誰かのエピソードだったという事が、今までにもあった気がする。

さっきまでと同じ場所にいるのに、なんだか何かが違うと思ったり、さっきまであった物が急にどこかに行ってしまって二度と見つからなかったり。

そういう小さな変化を繰り返して、平行世界を移動しているのかも知れない。

 

でも、そんな小さな違和感の事は、みんなすぐに忘れて新しい記憶に書き換える。

本来の私が生まれた世界から、私はずっと離れた平行世界に今いるのかも知れない。

 

そんな事を今日、図書館の中で思ったのだ。