電話

私がひとり暮らしを始めた頃は、電話を引くには10万近くのお金が必要だった。

手取りが12万とかの頃だ。

ひとり暮らしなら、電話を引いていない人も少なくなかった。

世の中にはいたる所に公衆電話はあった。

ピンク電話はお店などにあって、お金を入れてかける電話だったが、回線は公衆電話ではなく一般回線だった。だから公衆電話よりは安くかけられた。

 

自分で固定電話を引いたのは、バブルでお給料も上がってきた頃だった。

携帯電話を持ったのは、随分とあとだった。

その頃は、機種代金は0円とか1円とかで契約できた。

私はカメラが付いた最初の機種を買った。

それから二度機種変した。

 

そしてこの度、とうとうスマホに替えた。

3Gの携帯電話が、12月2日を持って通話とショートメールしか使えなくなるというので。

最悪ネットワーク調整をしなければ、そのまましばらくは使えるようだが、さすがにもう替えることにした。

折角なので最上位機種とか思ったけど、さすがに辞めておいた。

 

スマホにして10日程経ったが、もうスマホはおもちゃだなぁ。

電話ではないなぁ。

音楽が聞けて、動画が見れて、ゲームが出来て写真が撮れる。電話はほぼ架けない。

 

 

今では、固定電話は引いていない。

10万近くした権利は、今では何の価値もない。

休止のままだ。

 

子供の頃、遠くない未来には腕時計型のテレビ電話があると思っていた。

それが実現するのは、随分あとになった。

私はあの頃夢見た未来に住んでいる。

高いビルはいっぱい建っているが、車は空を飛んでいない。

テレビ電話はあるけれど、そんな電話をするのは、離れ離れに暮らす家族や恋人が居る人くらいだ。

 

スマートフォンにはシールを貼った。

12歳の時に大好きだった、キキララのシール。

12歳だったら、スマホは素敵なおもちゃだろうが、オバさんにはちょっと宝の持ち腐れか。