ザネリ

最近、米津玄師ばかり聴いている。

新しいアルバムの最初の曲は『カムパネルラ』。

カムパネルラとは宮澤賢治の『銀河鉄道の夜』に出てくる少年の名前だ。

宮澤賢治は私が初めて好きになった作家だ。

 

カムパネルラは『銀河鉄道の夜』の中で、川に落ちたクラスメイトのザネリを助けて命を落とす。

米津の曲は、生き残ったザネリの側から書いたものらしい。

お調子者のやんちゃなザネリの代わりに、優等生のカムパネルラが死ぬ。

そうね、ザネリの立場なんて考えてみた事がなかったかも。

主人公のジョバンニを、心無い言葉で囃し立てたりする、クラスにはひとりは居そうなやんちゃな子がザネリだ。

銀河鉄道の夜のカムパネルラとジョバンニに、小学生の私は貧乏な自分と割と裕福な家の子だった仲良しの友達を重ね合わせていた。

あの物語を読むと、今でもあの子を想い出す。

その時、ザネリはただの意地悪な同級生でしかなかった。

ザネリはずっと誰かの陰口を受けながら、生きていかなければならなかったかも知れない。

米津くんのカムパネルラの、最後の歌詞は「君を憶えていたい カムパネルラ」。

 

宮澤賢治は生前全く評価されなかった。

それがこの21世紀にも、誰かに影響を与え続けている。

来年コロナが収束していたら、賢治祭に行きたいなぁ。