音匣

自宅待機中に片付けをした時に、雑貨の入った箱の中から音がした。

30年以上前に友人からもらったオルゴールが鳴っていた。

このオルゴールはスイッチ部分が甘いのか、もらった数年後から勝手に鳴り出す時があった。

何年も仕舞い込んでいたが、たまたま開けた箱の中で、いきなり鳴り出したので、これは外に出して欲しいのだろうかと十数年ぶりに出してみた。

螺子も重くなっていたけれど巻くとちゃんと鳴り出した。

そのまま片付けずに置いてあるけれど、気をつけてスイッチをオフにしていたはずなのに、また昨日もひとりでに鳴り出した。

霊感もないので別に怖くもないのだけれど、ちょっとびっくりする。

これは本当は別の曲が入っていた物を、店の人に頼んで私の好きな曲に入れ替えてもらったと、贈ってくれた友人が言っていた。

そんな事も思い出した。

古い友だちはすべて連絡を取るのを辞めた。

そして新しい友人は、大人になってから出来た事がない。

 

こんなご時世だと、友人が如何に大切かわかったとかいう話を聞くが、私にはそれもどうでも良い。

何か大きな事がある度に、逆に親しい者がいないことに安堵する。

誰の心配もしなくて良い。

その身軽さが私には心地よい。