雨後

雨はあがったようだ。

千葉では台風の被害が大きく、未だに停電が続き、家屋の被害も多くが手付かずのままのようだ。

こんな時、中年で高所作業の経験もない女というのは、なんの役にも立たない。

なんか良い方法があれば良いのに。せめて家財を避難させる場所とか、提供出来ないものなのかなぁ、国は。

 

天気も悪い今日は、外で遊ぶ子供の声なんかも聞こえないので、この世の中に自分ひとりなのかと思うほどに、この住宅街は静かだ。

今まで住んだどこよりも静かな気がする。

地方に住んで居た頃は、このくらいに静かだったかも知れないが。

この天気の所為か、夏の名残のセミも鳴かない。

昨日は町内を練り歩いていた神輿の音も、今日は聞こえない。

 

この連休も、これと言って何もせずに終わろうとしている。

こんな調子でいけば、死ぬ前にやるべき事が何も終わらず、大量の物に囲まれて死んでしまうのかも知れない。

それだけは避けないと。

最後は少しだけの綺麗な物に囲まれて、静かにこの世を去りたいものだ。

 

20歳の私が、こんな天気の日に、地方の静かな住宅街で、物がほとんど無いような部屋の中に居て、静かに本を読んでいた事を、ふと想い出した。

その頃が一番、自分らしかったのかも知れない。